小説 -4-「近大マグロ仕掛人の逆転ブランディング」
今回から題名をマイナーチェンジさせていただきました。
―前回から続く―
私は少し身を乗り出して言った。
「その答えが、『ブランド』なんや。」
「ブランド……。」
「でも勘違いしたらあかんよ。」
「はい。」
「ブランドいうたら、高級品や有名企業のことやと思ってない?」
「……思ってました。」
「ヴィトンとか、エルメス、ベンツとか。」
「そうですよね。」
私は笑いながら首を振った。
「実は、それはブランドの結果であって、本当の意味やない。」
「えっ?」
「ブランドとは、『選ばれる理由』なんよ。」
美咲さんは少し黙り込んだ。
「選ばれる理由……。」
「そう。」
「値段やない。」
「品質だけでもない。」
「『あの会社がいい』『あそこなら安心』『あそこに頼みたい』と思ってもらえる理由。」
私はテーブルの上に置かれた会社案内を手に取った。
「美咲さん。」
「はい。」
「この会社には、選ばれる理由がいっぱいある。」
「そうなんですか?」
「あるよ。」
私は笑顔で答えた。
「ただ、それがまだブランドになってへんだけや。」
美咲さんは会社案内を見つめながら、小さくつぶやいた。
「ブランドって、有名になることやないんですね。」
私はうなずいた。
「ようやく入口まで来ましやん。」
そして私はコーヒーを一口飲んで続けた。
「じゃあ次は、『ブランド』という言葉そのものの意味から話しましょか。」
美咲さんは大きくうなずいた。
「はい、お願いします。」
美咲さんは身を乗り出した。
「お願いします。」
私は机の上にあったメモ用紙を一枚取り、ペンを手にした。
―続く―




