小説-14-「近大マグロ仕掛人の逆転ブランディング」
この話の趣旨は「近大マグロ」ではなく、あなたのための話です。中小企業、学校、地域・・・どんな小さな組織や個人でも「選ばれる理由」があります。そんな話を中小企業の二代目社長、佐藤美咲さんとの会話を通じながらお伝えしています。
―前回から続く―
【美咲の今日の気付き】
今日、先生から聞いた話は、私にとってかなり衝撃的でした 。
「世界初の完全養殖」。
これだけ聞けば、誰もが「すごい商品だから、きっと売れたんだ」と思います。
でも、実際は違いました。
三十二年かけて世界初を達成しても、市場では「普通の養殖マグロ」。
技術の価値と、市場が感じる価値は違う。
そこから先生は、1,000人以上のお客様に話を聞いた。
そして、たった一人の、
「……じゃあ、安心よね」
という言葉を見逃さなかった。
「美味しいから売れる」ではなく、
「安心だから選ばれる」。
その視点の変化が、近大マグロのブランドづくりの始まりだった。
さらに驚いたのは、「養殖」という弱点を隠そうとしなかったこと。
「大卒マグロ」
「卒業証書」
という、一見すると笑ってしまうような仕掛けに変えた。
そして、生産現場で起きていることを、お客様に伝えた。
マグロを取り上げるだけでも大変なこと。
鮮度を守るために90秒以内で処理すること。
研究者や生産者が、どれだけの努力をしているのか。
知らなければ、ただの「養殖マグロ」。
知れば、「そこまでして育てているマグロなんだ」と感じる。
今日、先生から教えてもらったことで、私の中の「ブランド」という言葉の意味が、また一つ変わりました。
ブランドは、商品に付けるものではない。
商品にすでにある価値を見つけ、それをお客様に伝え、共感してもらうことで育っていく。
そして最後に先生が言った、
「五十年も続いてる会社に、何もないわけないやろ。」
という言葉。
なぜか、胸に残っています。
私の会社にも、まだ自分たちが気づいていない価値があるのかもしれない。
次は、その価値を見つける番です 。
※いよいよ次回からは、どんな組織や個人でも応用できるACTブランディングのお話です。
―続く―




