MAIL

BLOG

ブログ

小説-17-「近大マグロ仕掛人の逆転ブランディング」

2026年08月29日 コラム
【ACTは、理論から生まれたんじゃない】
―前回から続く―

美咲が尋ねた。
「先生。」
「うん?」
「前に言っていたACTって、今の話と関係あるんですよね?」
「もちろん。」

私はホワイトボードに三つの文字を書いた。
A C T
ACTは、私が近大マグロのブランディングから学んだことを、分かりやすく整理したものだ。
「それぞれ何の意味ですか?」
「AはAction。」
「行動。」
「CはChallenge。」

「挑戦。」
「そしてTはThinking。」
「考えること?」
「そう。」

私は三つを順番に指差した。
Action=まず動く。観察する。訊く。
Challenge=失敗を恐れずなんでもやってみる。挑戦してみる。
Thinking=なぜ?と考え続け、学び、次の行動につなげる。
「これがACTブランディングや。」

美咲さんは首をかしげた。
「でも先生。」
「何や?」
「それって、どれも当たり前のことに聞こえます。」
「そうや。」
「えっ?」
「当たり前やから大事なんや。」

【“知っている”と“やっている”は違う】
私は美咲に尋ねた。
「Action。行動することが大事やと分かってる人は多いよね。」
「はい。」
「Challenge。挑戦することが大事やと分かってる人も多い。」
「はい。」
「Thinking。考えることも大事やと分かってる人も多い。」
「そうですね。」
「でもね。」
私は三つの文字を丸で囲んだ。

「知っていることと、実際にやっていることは違うんよ。」
美咲は黙って聞いている。
「例えば、『お客様の声を聞いた方がいい』と分かっていても、実際に100人のお客様に会いに行く会社は少ない。」
「確かに。」
「『新しいことをやった方がいい』と言いながら、失敗を恐れて何も変えない会社もある。」
「……。」
「『なぜ売れないんだろう』と考えながら、去年と同じ方法で営業を続けている会社も多い。」
「耳が痛いです。」
「でも、責めてるんやない。」
私は笑った。

「それくらい、実践することは難しいということや。」
「ACTって、単に知ってるだけでは何の役にも立たんのよ。」
「無意識のうちに行動し、挑戦し、深く考える…。これを習慣にしてしまうくらいにならないと、なかなかいいアイデアは出ないし、せっかくチャンスがあってもスルーしてしまう。」

「なるほど、”ACTを習慣に”…ですね。」
「じゃあその習慣って、まずAをやって、次にC、その次にTなんですか?」
美咲が尋ねた。
「いや。」
私は首を振った。
「ACTは一回やって終わりやない。」
ホワイトボードに円を描く。
Action

Challenge

Thinking

Action

Challenge……

「ぐるぐる回すんや。」
「なるほど。」
「やってみる。」
「うまくいかん。」
「なぜやろ?」
「考える。」
「もう一回やってみる。」
「また違う結果が出る。」
「なんでやろ?また考える。」
「その繰り返し。」
美咲さんは円を見ながら言った。PDCAに似ていますね。」
「うん、似てるね。」
「でも、ちょっと違う?」

「そう。」
「どこがですか?」
「ACTは、もっと現場から始める。」
「現場?」
「机の上で計画を完璧に作ってから動くんやなくて、まず現場を見る。」

「そして動く。」
「反応を見る。」
「考える。」
「また動く。」
「えーっと、それって…、つまり…。」
美咲が言った。
「完璧な答えを最初から求めない。」
「その通り。」
「やりながら答えを見つけていくことですね。」

ー続くー