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小説-20-「近大マグロ仕掛人の逆転ブランディング」

2026年09月02日 コラム
―前回から続く―
【STEP2 強みを見つける】

私はホワイトボードに二つ目の項目を書いた。
「STEP2 強み発見。」
「ここで大事なんは、『会社に何ができるか』だけを見るんやない。」
「じゃあ、何を見るんですか?」
「『なんで、お客様がそれを評価してくれているのか』を見るんや。」
「なるほど。」

「例えば、『納期を守る』という会社の強みがあったとする。」
「はい。」
「でも、それだけやったら普通に聞こえるやろ。」
「確かに。」
「でも、お客様に聞いたら『急な注文でも相談に乗ってくれるから助かるわ』と言われた。」
「はい。」
「すると、強みは『納期を守る』だけやないやろ。」
「『困ったときに頼れる』?」
「そう。」
私は大きく書いた。
「そう、お客さん側から見て『頼りになる、信頼できる』になるんよ。」

技術 → 信頼 → 選ばれる理由
「ここが重要ポイントやな。」
「技術そのものだけを見るんじゃなくて、その技術によってお客様がどんな価値を感じているかを見る。」
「はい。」
「これがブランディングなんや。」

【強みと選ばれる理由は違う】
「先生。」
「何や?」
「じゃあ、『うちは技術力があります』だけでは足りないんですね。」
「そういうことやね。」

「『高精度の加工ができます』でも?」
「まだ弱い。なぜかというと…。」
「それは会社側の言葉やから。」
「お客様側の言葉に変えるんですね?」
「そう。」

私は例を挙げた。
「『高精度の加工ができます』。」
「これは技術の説明。」
「『難しい部品でも安心して任せられる』。」
「これは?」
「お客様が感じる価値。」
「その通り。」

「では、『短納期で対応できます』は?」
「それは技術・サービスの説明ですよね。」
「うん。」
それじゃあ「『急な注文でも間に合わせてもらえる』。は?」
「これがお客様目線で見た価値なんですね。」
「そう。」

美咲は納得したようにうなずいた。
「会社が言いたいことと、お客様が知りたいことは違うんですね。」
「そこがズレると、いくら発信しても伝わらへん。」
「ここの違いを多くの会社は間違えてしまうんやなあ。」
「なるほど……。」

「ブランドづくりでは、『自分たちは何ができるか』から一歩進んで、『お客様にとって、それがどんな意味を持つのか』まで考えなあかんよ。」

―続く―