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小説-34-「近大マグロ仕掛人の逆転ブランディング」

2026年09月18日 コラム


~地域編~
―前回から続くー

【地域のファンをつくる】
「先生、また質問なんですが。」
「うん、何?」

「地域ブランドのゴールって、移住者を増やすことですか?」
「それだけやない。」
「じゃあ?」
「う~ん、結局はファンを増やすことかな。」

「ファン?」
「そう、その地域を好きになってくれる人。」
「住んでなくても?」
「うん、そうや。」

「観光で一度来ただけでもですか?」
「そこからファンになるかもしれんしね。」
「何度も訪れる。」
「誰かに紹介する。」
「ふるさと納税をする。」
「地域の商品を買う。」
「SNSで発信する。」

「いろんな関わり方がある。」
「なるほど。」

「今は『住民か、住民でないか』だけで分ける必要はない。」
「関係人口ですね。」

「すごい言葉使うな。でも、まあそういう考え方やな。」
「地域との関係を持つ人を増やしていくことですね。」
「それも地域ブランドの大事な役割ということやね。」

【企業、学校、地域。全部同じ】
美咲はホワイトボードを見ながら言った。
「先生。」
「何や?」
「ここまで来ると、企業も学校も地域も、ブランディングの基本はみんな同じなんですね。」

「その通りや。」
「企業は、お客様から選ばれる。」
「うん。」
「学校は、生徒や保護者から選ばれる。」
「うん。」
「地域は、住民や移住者、観光客、企業などから選ばれる。」
「そうやね。」

「そのためには、まず自分たちの強みを見つける。」
「うん。」

「でも、自分たちが思う強みじゃなくて、相手が感じる価値を見つけるんですね。」
「うん。」
「それをコンセプトにして伝える。」
「そう。」
「実際の行動で約束を守る。」
「うん。」
「そして、また反応を見て改善する。」

私は笑った。
「そう、それがACTや。」

【ACTブランディングは、誰のもの】
私はホワイトボードに三つの円を書いた。
企業
学校
地域

そして、その三つを囲むように大きな円を書いた。
ACTブランディング

「これが、今日まで話してきたことや。」
「業種が違っても使える。」
「規模が違っても使える。」
「会社でも。」
「学校でも。」
「自治体でも。」

「大切なのは、『自分たちには何があるのか』を見つけること。」
「そして、『相手にとって、それはどんな価値なのか』を考えること。」

「やってみる。」
「反応を見る。」
「考える。」
「またやってみる。」

美咲は、ホワイトボードをじっと見つめていた。
「先生。」
「何や?」
「最初は『ブランドって、大企業がやるもの』だと思っていました。」
「うん。」

「でも、今は違います。」
「どう思うようになった?」

「ブランドって、結局……。」
美咲は少し考えてから言った。
「『選ばれる理由』を見つけて、育てていくこと。」
私は笑った。
「その通り。」

【美咲の今日の気付き】
今日、地域ブランドについて話を聞いて、企業、学校、地域が一本につながりました。

企業は、お客様から選ばれる。
学校は、生徒や保護者から選ばれる。
地域は、住民、移住者、観光客、企業などから選ばれる。

対象は違っても、考え方は同じです。
まず、自分たちの足元を見る。
「こんなもの、誰でも持っている。」
「こんなことは当たり前。」

そう思っているものを、もう一度見直す。

そして、そこにどんな価値があるのかを、実際に関わっている人たちに聞いてみる。自分たちが「強み」だと思っていたものと、相手が「価値」だと思っているものが違うこともある。

だからこそ、
「自分たちは何ができます」
だけではなく、

「あなたにとって、どんな意味がありますか?」
という視点が大切なのだと思います。

そして、企業でも学校でも地域でも、ブランドは広告だけで作ることはできない。
掲げた約束を、実際の行動で守り続ける。
その積み重ねが信頼になり、やがてブランドになる。
今日、先生が最後に言った言葉が心に残りました。

「ブランドは、選ばれる理由を見つけて、育てていくこと。」
そう考えると、ブランドづくりは特別な人だけができるものではありません。

会社にも。
学校にも。
地域にも。

そして、もしかすると私自身にも。
まだ気づいていない「選ばれる理由」があるのかもしれません。

―続く―
次回からはいよいよ最終章に入ります。