-6- 近大マグロ仕掛人のブランド再生塾/私立大学編
2026年10月07日
コラム

~前回から続く~
【面倒見がいいは、ただの言葉じゃない】
大学のパンフレットを見ると、
「面倒見のよい大学」
という言葉が書かれていた。
私は理事長に尋ねた。
「この言葉、誰が考えたんですか?」
「広報担当です」
「学生や保護者から出てきた言葉ではない?」
「たぶん違います」
私はパンフレットを閉じた。
「でも、面白いですね」
「何がです?」
「大学側が作った言葉と、学生や保護者が話している内容が、少しずつ重なってきています」
「本当ですね」
ただし、私はここでも慎重だった。
「『面倒見がいい』だけでは、まだ弱いと思いますよ」
「弱い?」
「どこの大学でも同じことを言ってるからですよ」
理事長が頷いた。
「う~ん、確かに」
「ブランド化をするなら、もっと具体的に差別化をしないといけません」
私はホワイトボードに書いた。
面倒見がいい
その下に、
↓
何をしているから、そう感じるのか?
と書いた。
「ブランドは、形容詞ではありません」
「形容詞?」
「『親切』『安心』『面倒見がいい』『温かい』。こういう言葉だけでは、まだブランドになりません」
「サン・テグジュペリの『星の王子様』の有名な一節に『大事なものは目には見えないんだよ』というのがありますよね。もちろんこれは重要なんですが、ブランディングではさらにもう一歩突っ込んでいかないと鮮明なイメージとして記憶に残りにくいんですよ」
「それじゃあ、どうすれば?」
「その言葉を裏付ける具体的な行動を探すんです」
私は続けた。
「『安心』と感じるのは、何をしているからなのか。『面倒見がいい』と感じるのは、どんな場面なのか。そこまで掘り下げる必要があります」
理事長は、ホワイトボードをじっと見つめていた。
【卒業生に聞く】
次に、卒業生にも話を聞くことにした。
卒業生は、大学を外から見ることができる。
在学中には気づかなかったことに、卒業してから気づくこともある。
最初の卒業生に聞いた。
「卒業してから、この大学を振り返ってどう思いますか?」
「そうですね…」
しばらく考えてから、
「人とのつながりが強かったなと思います」
と答えた。
「先生との?」
「先生もそうですけど、友達や先輩、後輩もですね」
「ほう、それは今の仕事にも役立っていますか?」
「ええ、かなり役立っていますよ」
「どんなところで?」
「困ったときに、人に相談することです」
「それは、大学で身についた?」
「はい」
私は少し驚いた。
大学側は「就職支援」を強みとしていた。
しかし、この卒業生が語っているのは、就職先を紹介してもらったことではない。
「人に相談する力」
だった。
「大学で先生や先輩たちに相談することに慣れていたので、社会人になってからも、わからないことを一人で抱え込まなくなりました」
私は、その言葉を聞いて考え込んだ。
これは大きい。
~続く~
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