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-7- 近大マグロ仕掛人のブランド再生塾/私立大学編

2026年10月08日 コラム

―前回から続く―
【相談できる人を育てる】

別の卒業生にも聞いた。
「大学生活で、一番印象に残っていることって、何かありますか?」
「尊敬できる先生に出会えたことですかね」
「やっぱり先生ですか」
「はい、卒業してから何年も経つんですけど、今でも連絡する先生がいるんです」
「どんなことを相談するんですか?」
「仕事の事とか・・・」
「卒業してからも?」
「ええ」
「先生は相談に乗ってくれる?」
「乗ってくれますよ」
私は笑った。

「先生は忙しいでしょうに・・・、ねえ」
「そうなんです。でも、『またいつでも相談してこい』って言ってくれるんです」
私は理事長を見た。

理事長は、少し驚いた表情をしていた。
「卒業してからも?」
「はい」

理事長は小さく呟いた。
「それは、知らなかったなあ…」

その言葉を聞いて私は思った。
大学のブランドというのは、在学中だけのものではない。
卒業してからも、
「この大学で学んでよかった」
と思えるかどうか。
そこまで含めて考える必要があるんだと。

【教職員に聞く】
次は、教職員だった。
私は、あるベテラン教授に聞いた。
「先生、この大学の強みは何だと思います?」
教授は即答した。
「学生との距離が近いことですね」
「ほう、それはなぜですか?」
「学生の顔が見えるんですよ」
「顔が見える?」
「人数が多すぎないということもありますけど、授業だけではなく、普段から学生たちとはよく話しますからね」
「それじゃあ、個々の学生の変化にも気づきますよね?」
「ええ、気づきますよ」
「例えば?」

教授は少し笑った。
「いつも元気な学生が、ある日、急に元気がなくなることがあるとか・・・ですかね」
「そういうときは、何かアクションを起こすんですか?」
「まあ、状況を見て声をかけますね」
「学生はちゃんと話してくれます?」
「すぐには話さないこともありますけどね。でも、何度か声をかけているうちに、『実は……』と話してくれることが多いですね」
「ほう、それは先生方が意識してやっているんですか?」
「う~ん…」

教授は少し考えた。
「意識してというより、うちは昔からそういう大学なんですよ」

私はその言葉に反応した。
「昔から、そういう大学」
これも重要な言葉だった。
一時的なキャンペーンではない。
新しく作った制度でもない。
長年にわたって続いてきた文化なのだ。

【当たり前の中にブランドがある】
私は、理事長に言った。
「先生、今の話、聞きました?」
「ええ」
「どう思われました?」

理事長は答えた。
「そんなことは、うちでは当たり前のことだと思っていましたわ」
「そうですよね」
「でも、外から見るとそれがわからんもんですねえ」
「ええ、そうですね」

ブランドづくりで難しいのは、
自分たちが当たり前だと思っているものの価値に気づくことです。

毎日やっていること。
昔からやっていること。
特別な努力だと思っていないこと。

だから、誰も「これが強みだ」と思わない。
でも、外から見ると、
「そんなことをしてくれる大学は珍しい」
ということがあります。

私は、これまで企業の現場でも何度も同じ経験をしてきた。
社長は、
「うちは普通ですよ」
と言う。

社員は、
「昔からやっています」
と言う。

お客さんに聞くと、
「いやいや、それがこの会社のいいところなんですよ」
と言われる。

誰が正しいのか・・・。
もちろん、お客さんだ。

なぜなら、ブランドは「自分たちがどう思っているか」より、むしろ
「相手がどう感じているか」によって決まるからだ。

~続く~

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