-15- 近大マグロ仕掛人のbランド再生塾/私立大学編

―前回から続く―
【コンサルティングは、答えを与える仕事ではない 】
私は、理事長に一つの質問を投げかけた。
「理事長、もし今、私が『御校のブランドは、学生に寄り添う安心感です』と決めてしまったら、どう思われますか?」
理事長は、少し驚いた表情を浮かべた。
「う~ん、そうですね…。今回のお話を聞く限り、確かにそういう面はあると思いますが、それだけで決めてしまってよいのか、という気持ちもありますね」
「そうですよね」
私はうなずいた。
「今回、いろんな人の話を聞いて、共通するものが見えてきました。でも、それをそのままブランドの答えにしてしまうのは、まだ早いと思います」
「では、次にすることは何でしょうかね?」
「まずは、今回見えてきた価値が、本当に大学の中で実践されているのかを確かめないといけないと思います。先生方が、どんな思いで学生に接しているのか。学生を支えるために、どんな工夫をしているのか。そうしたことを、教職員の皆さんとも一緒に考えていく必要があります」
理事長は、ゆっくりとうなずいた。
「なるほど。単に外の人の声を聞いて終わりではなく、言葉の裏付けが必要ということですね」
「そうです。外から見えた価値と、大学の中で実際に行われていること。その二つをつなげていくんです」
「これまで、コンサルタントというものは、答えを教えてくれるものだと思ってましたが、そうではなかったんですね」
私は笑って答えた。
「私は、答えを持ってくるわけやないですよ。大学の中にある様々な価値を、理事長や教職員の皆さんが見つけて答えとしてつくり上げていくお手伝いをしているわけです」
理事長は、興味深そうに私を見た。
「それが、先生のいわれるブランディングコンサルタントの役割ですか?」
「ええ、そうです。私の仕事は、大学の代わりにブランドをつくることじゃありませんし、つくれるはずもない。大学の中にある価値を見つけ、それを皆さんが自分たちの言葉で語れるようにしていくこと。そして、その価値が学生や保護者、地域、企業に伝わり、実際の行動につながるように支援することです」
私は、少し間を置いて続けた。
「言ってみれば、触媒のようなものですかね」
「触媒?」
「ええ。触媒というのは、化学反応を促す働きをするものですよね。自分自身が主役になるのではなく、相手の中にあるものが動き出すきっかけをつくる。ブランディングコンサルタントも、それに似ていると思うんです」
理事長は、ゆっくりとうなずいた。
「なるほど。外から答えを持ち込むのではなく、大学の中にあるものを引き出し、大学自身が変わるきっかけをつくるわけですね」
「その通りです。最終的に大学を変えるのは、私じゃありません。理事長をはじめ、教職員のみなさん自身なんです。そしてその結果作られた価値は決してブレない。それがブランドとなって成長していくんですよ」
~続く~
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