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-5- 近大マグロ仕掛人のブランド再生塾/医療機関編

2027年01月07日 コラム


第2章 病院の強みは、院長が決めるものではない
― 職員たちの何気ない言葉に、ブランド再生のヒントが隠れていた ―

1.院長室で始まった作戦会議

「先生、おはようございます。今日はよろしくお願いします」
病院長室に入ると、理事長が笑顔で迎えてくれた。

前回お会いしたときには、経営への不安が表情に色濃く表れていた。しかし、今日は少し様子が違う。
机の上には、何枚かの資料が用意されていた。
「先生に言われたとおり、職員から話を集めてみました。まだ十分とは言えませんが、いくつか興味深い話が出てきています」
「それは楽しみですね。どんな話がありましたか」

理事長は、資料を手に取って説明を始めた。
「看護師からは、患者さんが退院するときに『ここに来てよかった』と言ってもらったという話がありました。医事課の職員からは、受付で不安そうにしていた患者さんに声をかけたところ、帰り際にお礼を言われたという話もありました」

「なるほど」
「ただ、職員に聞いてみると、そういう話は特別なことではないと言うんです。毎日の仕事の中で、普通にやっていることだと」

私は思わず笑った。
「理事長、それは興味深いですね」
「興味深い、ですか?」
「ええ。そこに、何かが隠れているかもしれません」

理事長は不思議そうな顔をした。
「どういうことですか」

「自分たちが当たり前だと思っていることと、患者さんが価値を感じていることは、必ずしも同じではありません。職員の皆さんが特別なことだと思っていない行動に、患者さんがこの病院を選ぶ理由が隠れている可能性があるんです」

「ほう、つまり、本人たちが気づいていない強みがあるかもしれない、ということですか」
「そうです。だから今日は、もう少し詳しく話を聞いてみましょう」

理事長はうなずいた。
「看護部長と事務部長には、職員が集まれる場を用意してもらっています。医師にも何人か参加してもらうことにしました」

「ありがとうございます。ただ、ひとつお願いがあります」
「何でしょう」

「今日は、私が答えを出す場ではありません。皆さんが普段、どんな思いで仕事をしているのかを聞く場にしたいんです。ですから、できるだけ自由に話してもらえるようにしてください」

理事長は納得したように返事を返した。
「わかりました。私も、まずは聞くことに徹します」

その言葉を聞いて、私は心強く感じた。
ブランディングの第一歩は、自分たちの考えを押し通すことではない。相手の言葉に耳を傾け、そこにある価値を発見することなのだ。

2.医師たちが考える病院の強み

最初に集まってくれたのは、医師4人、看護師3人、医療技術職2人、事務職員3人の、合わせて12人だった。
会議室の前方には理事長と私が座り、職員たちは半円を描くように席についていた。
私は簡単に自己紹介をしたあと、こう切り出した。

「今日は、皆さんに病院の宣伝文句を考えてもらうために集まっていただいたわけではありません。皆さんが、この病院で日々どんな仕事をし、どんなことを大切にしているのかを教えていただきたいんです」

参加者たちは、少し緊張した様子でこちらを見ていた。

~続く~

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