-6- 近大マグロ仕掛人のブランド再生塾/医療機関編

~前回から続く~
「皆さんが、この病院で日々どんな仕事をし、どんなことを大切にしているのかを教えていただきたいんです」
参加者たちは、少し緊張した様子でこちらを見ていた。
「では、最初の質問です。皆さんは、この病院の強みは何だと思いますか」
最初に手を挙げたのは、内科の医師だった。
「やはり、医療の質じゃないですか。各診療科に経験を積んだ医師がいますし、必要な検査にも対応できる設備があります」
別の医師も続けた。
「地域の病院として、幅広い症状に対応できることも強みだと思います。専門的な治療が必要な患者さんについては、適切な医療機関と連携できる体制もしっかりしてますし」
私はうなずいた。
「なるほど。医療技術、設備、幅広い診療への対応、そして医療機関との連携ですね。どれも重要なことだと思います」
ここまでは、理事長が先ほど話していた内容と大きく変わらない。
私は、もう少し聞いてみることにした。
「では、皆さんにとって、医療の質が高いというのは、具体的にどういうことでしょうか」
医師のひとりが答えた。
「正確に診断し、適切な治療を行うことです」
「そうですね。それ以外にはありますか」
「患者さんの状態を見極め、必要なときには専門医療機関に紹介することも大切です」
私は、さらに尋ねた。
「そのことは、患者さんにも伝わっていると思いますか」
医師たちは顔を見合わせた。
「治療内容については説明していますが、どこまで伝わっているかは、患者さんによると思います」
「専門的な内容になると、理解していただくのが難しい場合もありますね」
その答えを聞きながら、私は思った。
医療従事者が考える医療の質と、患者さんが実感する医療の質。その両方が大切であることは間違いない。
しかし、医師が正確に診断し、適切な治療を行っていても、患者さんが何をされているのかわからず、不安を抱えたままであれば、病院への信頼は十分に育たないかもしれない。
私は医師たちに尋ねた。
「患者さんが安心して治療を受けられるように、普段から心がけていることはありますか」
すると、ひとりの医師が少し考えてから答えた。
「できるだけ、患者さんの話を聞くようにはしています。ただ、外来が混み合っていると、十分な時間を取れないこともありますがね」
「患者さんの話を聞くことが、診療にも役立つわけですね」
「もちろんです。症状だけでなく、生活の状況や、何に困っているのかを知ることは重要ですから」
「そのことを、患者さんはどのように受け止めておられるでしょう」
医師は、少し考え込んだ。
「そうですね……。こちらが意識している以上に、話を聞いてもらえたことを喜んでくださる患者さんはいるかもしれません」
私は、うなずいた。
「今の話は、とても大切だと思います」
医師たちが病院の強みとして挙げたのは、専門性や設備だった。しかし、話を掘り下げていくと、患者さんの話を聞き、状況を理解しようとする姿勢も、医療の質を支える大切な要素として見えてきた。
しかし私は、まだ結論を出すつもりはなかった。
ここで大切なのは、医師の話だけで病院の強みを決めないことだ。看護師にも、医療技術職にも、事務職員にも、それぞれの視点がある。
病院という組織の価値は、ひとつの職種だけでつくり上げられているわけではないのだから。
3.看護師が語った、退院の日の出来事
次に話してくれたのは、看護師だった。
看護部長を務める女性が、少し遠慮がちに口を開いた。・・・続く
#病院経営
#病院ブランディング
#選ばれる病院
#患者満足
#地域医療
#経営改善
#ACTブランディング
#近大マグロ仕掛人
#ブランド再生塾




